市販の金継ぎセットの内容を見ると大豆くらいの欠けや,欠片が2個程度の磁器の器くらいまででしたら出来る物が多いです。金の量も少なく土物の表面が凹凸のある器でしたら割れた状態にもよりますが金が足りなくなります。手順書も同封されていますが、漆の厚みなど立体のイメージが付きにくく途中で失敗する場合が多いようです。漆が垂れてそのまま固まるとすごく硬くなり取り除くのが大変です。
接着時にずれる 手順書に接着前に断面に漆を塗ると書いてありますが塗らなくていいです。塗ってしまいそのまま乾くとうまく接着できなくなります。断面に漆を塗り乾いてしまったらそのまま当工房に送ってください。修正方法 断面をルーターで削り漆を削り接着します。しかし完全に断面についた漆は取れないため少し太めの金継ぎになります。
漆が垂れて固まった 欠けの金継ぎ修理でよくあります。欠けは錆漆という粘土状の漆で盛り上げます。液体の漆ではないので垂れる心配はないです。しかし、液体の漆だけで盛り上げようとすると乾くまでに垂れたり、しわが入った様に乾いてしまいます。 修正方法 磁器の器でしたらきれいに垂れた漆は取れますが、土物や素焼きのようなザラザラとした表面の器は完全に垂れた漆が取れず残る場合があります。残っtら部分も金継ぎ等の仕上げになります。
漆にかぶれてしまった。 これは失敗ではないです。私もかぶれます。金継ぎ作業中手などに漆が付いたらすぐに油で拭いてください。サラダ油、オリーブ油などで大丈夫です。その後アルコールなど含んだ除菌シート等で手を拭いてください。漆に対しては徐々に免疫がつきかぶれの程度も軽くなっていきます。特に失敗ではないのでかぶれが引いたら作業を始めてもいいと思います。
作業を止めて数年放置してある 金継ぎをあきらめ数年放置した状態のものですが普通に修理可能です。修理箇所はすごく硬くいなっています。接着してある器は特にはがさずそのまま接着された部分を使用します。 修正方法 ずれて入り部分は段差をルーターで削り滑らかにします。削るため太い金継ぎになります。欠けた部分は一度古い漆を取り除き始めからやり直します。
ボンドで付けてしまった こちらもよくあります。器により剥がせる器と剥がせない器があります。
修正方法 土物で強力なエポキシ系などのボンドで付けた場合はそのまま利用します。磁器の場合はお湯で温めると多くのボンドは剥がれますので磁器の場合は剥がします。
主に接着の工程で送られてきた器の写真です。修理前の様子と金継ぎの線の幅を見てください。
お値段途中の状態により剥がす工程の料金1500円ほどプラスされます。
金継ぎ 消し金仕上げ 8000円ほど
修理前の器は麦漆を使用して接着してあります。比較的丁寧に作業されていまして、引継ぎ後の作業も楽でした。接着部分はそのまま利用しました。土物の断面は凹凸が多いため無理にはがすときれいに接着できません。仕上げは消し金仕上げです。
厚みのある器です。接着が強く剥がすことが不可能です。手で触ると段差がわかりますので出っ張り部分をルーターで削りました。削った部分はすべて金継ぎをします。そのためうまく接着できた場合と比べて仕上げの金の線が太くなります。
金継ぎ 消し金使用 9900円
金継ぎセットではコクソ漆という木の粉と麦漆を混ぜた漆を使うことが多いですが、その漆を使うと慣れていない場合きれいに仕上がりません。(私はコクソ漆を使いません)理由は木の粉が粗く滑らかにつけることができないためです。幸い子の器は表面に釉薬がついていたためはみ出した漆はきれいに取れましたが釉薬が付いていないザラザラした器ははみ出した漆がそのまま残ります。
ボンドで接着しありおそらく数年経っていると思います。接着工程で付ける順番を間違えて空洞になっている部分が入らなかったか、欠片がなくなったかどちらかだと思います。壺は磁器ですのでお湯で温め慎重にボンドを剥がしました。欠片のない部分は漆で成形しました。